読書レポート_三谷/No32
- 2019年09月30日
- 三谷 浩之

『迷路の外には何がある』 スペンサー・ジョンソン 著
本書は2000年に発売され全世界で2800万部が売れた大ベストセラー「チーズはどこに消えた」の続編。19年の歳月を超えての続編となり興味深い。「チーズはどこに消えた」が爆発的に売れた当時、まだいろんなことがわかっていなかった大学生だった私も読んでみてその時のレベルなりに人生の参考になったなと感じたことを覚えている。
本書は続編と言うことだが前作を読んでいなくても十分理解できる内容である。前作では迷路の中にいた小人2人とネズミ2匹がいつも食べているところにあったチーズが無くなり、人生の岐路に立たされる話だ。その時にネズミはいち早く次のチーズを求め未知の迷路に駆け出していった。小人は最初は2人とも同じように呆然とし、何かに対して憤り、なぜ状況が変わったんだと環境のせいにしていた。その後冷静になりそれぞれ違う判断をする。ここにいては駄目だ、どんどんジリ貧になる、怖いしどうなるかわからないけど一歩踏み出して迷路に飛び込みチーズを探しに行こうとする者と、嫌だここから動きたくない、きっとここにいればまたチーズは出てくる、と現実逃避して根拠のない何かにすがってその場から動けない者。
本作はその動けなかった小人がその後どうなったかに焦点を当てた話だ。残った小人はずっとそこにいて、出ていった小人がきっと戻ってくると願い、時に帰ってこないことに憤り、俺を大事に思っていないなどと畑違いの逆恨みをして過ごしている。そして今までチーズがあった時に使っていたハンマーをいまだに持つ続け、きっとここを叩けばチーズが出ると昔のことにすがって生きていた。チーズを見つけないと死ぬ、迷路に出ていけば怖い、そして自分で何とかしないといけないという事実は頭でわかっているが、新しいことにチャレンジできず時だけが過ぎているという状態。
これはまさにビジネスでも人生でも私たちの周りによくあること。そこにいても何も変わらないし、どんどん窮地に追い込まれていくことに薄々気づいているのに、そこから目をそらし、昔のよかった状態を忘れられず、きっとまたそうなると信じようとして、自分で状況を変えるしかないのに何かいいことが起きてくれとすがる。非常に危険な思考だが多くの人がやっている。
結果本書では、この小人は勇気を出して進みその過程で少しずつ考え方に変化が生まれ、前向きになり最後には迷路の外の広い世界があることを知る。自分が思っている世界が全てではなく、外には大きく広がっていることを知るのだ。その過程での心の変化や気づきが我々の人生の参考になる。
本書にあった小人の気づきや心情の変化の中で私も大切だと思ったことをいくつか参考に書いておく。
・従来通りの考え方をしていては、新しいチーズは見つからない
・信念とは自分が真実だと信じる考えのことである
・古い信念はあなたを囚人にしかねない
・あなたの足を引っ張る信念がある、あなたを向上させる信念もある
・あなたは考えを変えることができる、新しい信念を選び取ることができる
・あなたが信じられることに限界はない
・あるかどうかわからなくてもあると信じなければならない時もある