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読書レポート_三谷/No6


『ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み』 近藤宜之 著

経営していくうえでとても参考になった1冊。著者は上場企業に勤め赤字の子会社の社長に就任。その再建を託されながらも最終的にその会社をMEBOし完全独立。経営陣が株式を買い取るMBOは聞く話だが、経営陣だけでなく社員も一緒になって株式を買い取り独立するMEBOはあまり聞いたことがない。本書にも派遣社員も新入社員も社員全員が株主という会社は日本では例がなくおそらく世界初だろうと書かれている。これだけでこの会社が働く人たちから望まれ、期待され、何より安心できる場であることがわかる。経営者である著者もそれだけ社員を信じていることがうかがえる。経営者が自分たちを大事にしてくれて信じてくれていることがわかれば社員達も心から会社を愛し、自分のこととして自覚も湧くだろう。素晴らしい経営姿勢だと思うと同時に、これを実現させていることがすごい。私も常々思っている経営の取り組みと近いことが書いてあったので自分の想いは間違いではなかったのだと認識できた。例えばいくつか著者の語る経営姿勢を抜粋する。①「雇用を守られる安心感があるからこそ、社員は一所懸命に働くことができる」②「会社は社員が仕事を通じて成長する場であり、会社の成長は社員の成長によって決まる」③「理念を浸透させるためあえて同じ話ばかりする」④「雇用を守れなくなるからどんな理由があろうとも赤字は犯罪」⑤「社員が努力すれば利益を生む構造をつくるのが社長の仕事」⑥「会社経営の第一主義は雇用と成長である」⑦「大事なことは社員に働くことで得られる喜びを提供すること」⑧「マルチタスクの推進」などなど。当社の社員ならばこれらを見ればうちと似ているなと思っていただけるはず。我々のレベルではまだまだ低いが、これらを高いレベルで徹底的に実践している会社がタイトルのように健全に永続的発展をしているという事例は我々にとって大きな自信に繋がる。大切なことを見失わず柔軟でありながらブレない経営をしていく。特に④はこれから先もずっと死守しなければならない。

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