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読書レポート_三谷/No56


『「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする?』 上村紀夫 著

ビジネスパートナー様が良い本だったとSNSで書いているのを見つけ読んでみた。当社は現在社員増強のために採用活動に力を入れている。会社の現メンバーの内訳は会社を興した時の創業メンバー、その後混乱期に創業メンバーとほぼ近い時期の初期メンバーが増え、3年~4年程度経ち少し落ち着いてきたところで入社してきたメンバーという三重層の構成で成り立っている。どの時期にしても創業初期の変化が大きいタイミングのためそれぞれの入社時期で環境が全く違う。よってそれぞれの会社イメージも違うだろう。また今いるメンバー以外にも入社してきたが残念ながら辞めた人もいる。今振り返れば人がどうしても欲しい時に当社の風土と合わないなと感じながらも強行して採用したパターン、教育制度が全くない時期にマンパワーで何とか乗り切ってもらいたいと思ったがそれが無理だったパターン、会社の未熟さによって寄り添ってあげられなかったなと思う人もいる。会社として制度を整えることができてきた今、採用に本格的に着手し始めた当社にとってこの本は理論的に会社と社員の関係が書かれていてとても参考になった。社員が辞めるから悪い会社ということではなく適正に新陳代謝も必要とあるが、会社として明確な採用基準と入社後の戦力化の仕組みは必須だ。「心身コンディション・働きやすさ・働きがい」の3要素のバランスを保つことが大切と本書にある。心身コンディションは疲労、将来への不安、病気など、働きやすさは業務量、人間関係、人事制度、働きがいは強み、成長、居場所感、つながりなどを指す。働きやすさや働きがいが阻害されると心身コンディションが悪くなりその逆もある。また働きやすさが高いと成果を出さないぶら下がり社員が増える、働きがいが高すぎるとやりがい搾取が続きそのうち疲労感も出るため他要素に影響が出る。例で言えば残業削減などの画一的な話は、仕事をがんばりたい人の働きやすさや働きがいを阻害しやる気を失わせる。出世して部下を持ちたくない人の能力が認められ出世すれば年収などは増えても部下の面倒を見ることに時間を取られることにストレスを感じ働きやすさが損なわれる。このように多くの場合トレードオフの状態を作り出す。それを少しでも解消するために社内で優先順位をつけることが大切だとある。そのためにも土台の価値観が近い人を集めることが重要と本書にもある。我々もそこを重要視しているが時にぶれてしまう時がある。一番大事な部分の軸を持って採用や教育制度を高いレベルにあげていく。

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