読書レポート_三谷/No29
- 2019年06月30日
- 三谷 浩之
『会社というモンスターが僕たちを不幸にしているのかもしれない。』 青野慶久 著
サイボウズ代表取締役の著書。物事の常識や当たり前にとらわれずに、本質を見て合理的に判断をしているような印象。合理的と言うよりシンプルに、自然に、無理が無いようにという感覚に近いかもしれない。当社は自然体で単純に、それぞれがなるべく働きやすいように合理化していくという会社運営の方針をとっているのでこの方の考え方や、サイボウズさんの企業運営方針は参考になる。しかも当社も会社内のグループウェアはサイボウズで、同じ四国出身ということもあり親近感も湧く。
そもそもなぜ会社があるのかという点から本書は始まっている。プラザセレクトも会社の存在意義を創業時から強く意識していて、我々がいなくても誰も困らないなら当社はいらないという話を社員にはよくしている。我々がいるからこその価値が必要であるということだ。本書にも「そもそもカイシャになぜ人が集まったのかをあまり考えようとしない」とある。多くの会社員の方はその通りだと思う。長い年月会社が生き続ければ、創業者から2代目3代目に代替わりしていき、オーナー社長からサラリーマン社長へと変化していく。そうすればそもそも会社を創った時の目的、理念は当然薄れる。会社を存続させれることが目的になり、もっと希薄になれば自分の生活や立場を存続させることだけが目的化してしまう。こうなれば不幸の始まりだと私は思う。本書もそのことが書かれていて、その状態をイケていないカイシャと呼び、そしてそこにいるイケていない社長やイケていない上司が会社が存在するそもそもの目的を見失わせるとある。
そこに入った若者は当然それらを知らず、教育もされないまま仕事をするので、会社に理念や夢があり、会社を通して自分を輝かせるということを考えようともしない。売上が大きいとかそういうところだけを見てしまう。そうではなく自分が楽しく働ける会社と出会うことが人生を楽しくする要素なのに。こう考えると本書のタイトルも本質を突いたものでうなずける。
最後に本書より経営者の私が忘れてはならない言葉があったので記す。
「誰からどのようにお金を集めるのか、集めたお金をどこに使うのか。この方針は代表の夢によって決まります。」
「代表が社会のためではなく自分のために働くようになると、自分のために働く部長を選ぶようになる。部長は自分のために働く課長を選ぶようになる。この構図に入り込んでしまうと、もはや自浄作用は利かなくなっていきます。」
創業の想い、理念の浸透の大切さがここにある。私が誰かに引き継ぐ時、また誰かに事業の一部を任せる時、これらの判断基準が大切である。この判断次第でここから後に続く人たちの幸不幸が変わってくるということを忘れてはならない。