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読書レポート_藤井/No27


「手紙屋」〜僕の就職活動を変えた十通の手紙〜  喜多川 泰  著

就職活動に悩む青年と「手紙屋」を生業とする人物との「文通」を通して語られる、働くことの意味を分かりやすく物語調にまとめてある本書。今となれば当たり前だなあと感じることも、改めて文字にして読んでみると忘れていることも多くありました。特に印象に残っていることは、「人生で欲しいものを手に入れる方法は物々交換しかない」ということです。相手の持っているものの中で自分が欲しいものと、自分が持っているものの中で相手の望むものが、お互いが丁度いいと思う量であるときに物々交換が成り立つ。会社と社員でも、「労働力」と「給与」として同じことが言えます。しかし労働力とはただ「働いた時間」だけではないというのが本書で書かれていることでした。自分が発する「言葉」や「笑顔」など、自分が価値だと思っていないことも望まれる要因の一部である。そして同時に、会社が与えてくれるものも「お金」だけではないのです。「お金」以外にも自分に与えられるものは多いのですが、いつのまにか「給与はもらえて当然」という考えになりがちで、他に得られる価値が見えなくなっているとあり、とても考えさせられました。プラザセレクトでは「給与はもらえて当たり前じゃない」という話をしてもらう機会がよくありますが、それでも忘れてしまっている自分に気付くことができました。毎日仕事をする中で様々な「当たり前」を実感していますが、それらは当たり前ではないのだということをもう一度心に刻んで、これから新しく入社してくる人にも伝えていきます。

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