読書レポート_三谷/No38
- 2020年03月31日
- 三谷 浩之
『ケーキを切れない非行少年たち』 宮口幸治 著
ビジネス書ではないがとても興味深いタイトルであり内容だったので手を取った。企業経営をしているとビジネスモデル構築だけでなく社員教育も大きな仕事である。当社は社員の教育方針として「他社で飯が食える人材になれ」という考え方を持っている。よって社会人としてのあたりまえに対しての教育は厳しいほうだと思う。自分自身が会社員、倒産、転職、経営幹部、経営者としての経験で多くの新卒、転職者を見てきた。その中で新しい環境にすぐに慣れて成果を出す人もいれば、全く馴染めない、新しいことを覚えられない人もいる。ひどい時は周りの人に迷惑をかける場合もある。しかし多くの場合その人に悪意があるようには見えない。一生懸命やろうとはしている。そんな人は一定数確実にいた。私はどちらかというと無限の可能性を信じて難しいだろうなと思う人にでもチャンスを与えるほうだ。しかし上記のようなうまくできない人とたまに出会うと本当にできない人って一定数いるのかと諦めていた。そんな人には説明した後に「わかった?」と聞く。そうするとほぼ「はい」と答える。そこで「わかったことを言ってみて」というとしどろもどろして言えないか、ポイントがずれたことを言い出す。このような人は長く続かず辞める傾向がある。当然成果は出ない。そして次に多いのがわかったと言って行動に移すと先ほど言ったことと行動のポイントがずれる人だ。このような人には注意するとその瞬間は理解したように見える。行動も修正される。しかし目を離すとすぐにずれた動きをし始める。よって成果が出にくい傾向がある。本書の内容は医学的にも非常にデリケートだ。細かく書くほど私に知識が無いからここには書かない。よってレポートとしては本を読んだ結果、今まで出会った数百人といった多くの社員や今までの社員教育について考えさせられたという感想に留めるが、確実に私の中で社員教育の考え方の視野は広がった。特に子を持つ親、教育関係者、企業の教育担当者には知識として知っておくべき良い本だと思う。