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読書レポート_三谷/No18


『会社を強くする多角化経営の実践』 山地章夫 著

著者の山地社長は会社員時代の勉強会で何度かお会いしている。人間味があって懐の深い大人の男だなぁという、当時30代前半だった私から見てかっこいい大人だった。大人数の懇親会などの中で少しお話したことがある程度なので山地社長は覚えていないかもしれないが、私は当時から独立するつもりだったのでとても印象深い目標とする経営者のお一人だと思っていた。
当時は住宅会社の経営者としてお会いしていたので、多角化経営をされているのは知っていたが住宅会社がメインの接し方で、本書を読むまではここまで多くの事業をされているとは知らなかった。しかも私が構想している「生活総合支援企業」への成長と同じようなことを既に北海道でされて成功を収められている。自分が考えていたことに近いことを既にやっている方がいることは心強く、すべてのことがとても参考になる。やはり生身の人間でも本でも芸術でもあらゆる感度の高い何かとの出会いは自分を高め、自信を持たせてくれるので出会いの大切さを実感する。
話はそれたが、本書のポイントとして(私としては全てがこれから将来の参考になったが)今我々の規模でできることをピックアップすると、①事業を部下に任すこと ②縦ぐしでできあがっている事業中心の運営組織に対して横ぐし組織を作る の2つ。これら2つもすぐに行うとまだまだ10人にも満たない猪突猛進状態の我々の会社では混乱が生じるので、運営方法を考えながら会社になじまさなくてはならない。
①は私が介入しすぎることで部下が成長するチャンスを減らしている可能性を感じること。自分の責任において多くの判断をした人は結果的に成長する。私もそうだった。厳しい判断、右にするか左にするか、その時は悩み苦しかったがそれを繰り返していくうちに胆力が身についていった。その判断をするという機会を増やすことが幹部社員を育てるポイントであると再認識した。
②は会社全体の生産性向上や働きやすくなる環境をつくる組織を構築すること。業績を上げるために企画して作って売るというサイクルを行うのはどの企業も同じ。しかしそれだけを続けていると会社内にある成長のチャンスや問題点に自分達で気づかない。横ぐしから会社を見るということは大切なこととわかりながらも、すぐに成果が出ないため力を入れることが後回しになってきている。組織的にこれらが運用できる仕組みをつくっていく。
創業から成長を遂げていると言っても、まだまだどこから見ても発展途上の会社。やることは山ほどある。

 

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