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プラザセレクトグループ創設者の三谷浩之が、就職を考える人たちへ等身大の言葉で綴るメッセージ。「誰か」の「何か」になればと自身の就職活動と起業への想いを語る。

社長のリアル就職活動
今を形作る過去

私は学生の頃からサラリーマンにはなりたくないと思っていた。全く社会や仕事のことがわかっていない10代の時から漠然とそう思っていた。雇われるのではなくて自分で何かをしたいと思っていた。そう思い始めたきっかけは無い。影響を受けた何かも思い出せないが、いつの間にかそう思っていた。会社に所属するということ自体を毛嫌いしていた。それはなんとなく縛られているようで、自分らしくない気がしていた。大学3年の就活シーズンに入った時期でもまだそう思っていた。サラリーマンにならずに手っ取り早く一国一城の主になる方法はないものかと考えていた。今思えばただのわがままだ。社会のことを何も知らず、何かの責任を背負ったこともない若僧ができることなどしれている。実はそれも薄々気付いていた。都合の良い言い訳を見つけて何かから逃げていただけ。そんな時この就職活動をどうしたものかと思いながらネットを見ていたら偶然見つけた会社がある。

ホームページを見た瞬間にここに入りたいと思った。社長を始めそこにいる人達の生き様がかっこよく見えた。その会社は社長が代替わりし、潰れそうな時期を乗り越え快進撃を始めた頃だった。「立派な会社を創る!」「世界を目指す!」「誠実な社員を育てる!」「夢と目標を持て!」そんなワードが目に飛び込んできた。それまでの私ならそんな言葉に響かなかったかもしれないが、なぜかその時はこれらの言葉に心が躍った。社長も40代前半で役員や幹部もほとんどが30代。若い会社であることも魅力的だった。そこには夢を持ちいかなる困難があろうと前向きに生き、それを実現することに立ち向かう人たちがいた。会ったことも聞いたこともない会社のホームページから社長の熱い想いとカリスマ性が伝わってきた。そしてそれを信じて覚悟を決めて支えている役員、社員の姿がそこに見えた。「なんかよくわからんけどかっこええ。輝いとるなぁ。俺もこの人が描く夢を一緒に追ってここで働いてみたい!」そう素直に思っている自分がいた。それが私が最初に就職した会社だ。

あれだけサラリーマンにはなりたくないと思っていた自分がいとも簡単にサラリーマンになった。就活中の私はこの会社で絶対に働きたいと思い、この会社以外では就職しないと心に決めた。その会社の本社は私の出身県と隣接していたが縁もゆかりもない地方都市だった。急成長しそうな雰囲気はあったが当時はまだまだ無名。「そこどこ?」「なんの会社?」親も友人もそう私に言った。当時東京の大学にいた私は研究室のみんなからもそう言われた。就職氷河期と言われていた時代だったが東京ならばまだ地方よりもチャンスは多い。それなのにわざわざなぜ地方の小さい会社に。一般論で言えば当然だ。でも私は誰の言葉にも耳を貸さなかった。心が揺さぶられることもなかった。必ずこの会社から内定をもらう。そう決めていた。そして内定通知が来た。とても嬉しかった。そこから私の社会人人生が始まった。

夜遅いことも休みが無いこともあったがそれでも毎日が刺激的で楽しく充実していた。思った通り社長は立派な人だったし、多くの尊敬できる人達とも出会えた。仕事が楽しいと思えることは幸せだったと思う。しかし順風満帆だった日々に悲劇は起きた。入社して7年後の29歳の時その会社は民事再生法を適用し事実上倒産した。心にぽっかり穴が開いた気分だった。自分の夢と会社の成長を重ねて駆け抜けた毎日に、大きな壁と残酷で受け入れがたい現実が立ちはだかった。そんなことになるなんて入社した頃には夢にも思わなかった。ずっと成長し続けると信じていた。悔しくて行き場のない怒りと悲しみが込み上げた。その7年、会社は急成長し西日本全域に進出。東京にも拠点を構え社員数は600名を超えた。押しも押されぬ勢いで業界では誰もが知る会社に成長していた。勝ち続けていた。だがあの日それが崩れ去った。負けること、その瞬間にすべてを失うこと。そんな現実が本当に存在するのだと、それを目の当たりにした。22歳から29歳の7年間は私の人生の中でも濃密で、リアルで、がむしゃらで、人としてたくさんの大切なことを学ばせてもらった時期となった。この出会いが無ければ今の私はもっと出来損ないで仕事のスキルも未熟だっただろう。なによりも夢を追う素晴らしさに気付いていなかったかもしれない。前向きに生きることの素晴らしさを忘れてしまっていたかもしれない。

もっと、もっと遠くへ、もっと上へ、もっと向こうまで。

結果が全てだと思っていた時期もあった。それは紛れもない事実である。倒産という事実もその結果の一つである。だから何かを守るには結果にこだわらなければならない。だが同時に、結果だけでなくそこに向かう過程の中にある出会いや経験が人としての宝になること、これからの人生の支えになることも知った。

私はそれを伝えたい。自分が何者かわからず、どうしてよいかわからなかった頃、偶然の出会いで私の人生が変わった。動き出したのは自分の足だ。しかし動き出すきっかけを与えてもらった。そして今はその過去を経て起業し会社も順調に成長している。小さい会社が急成長して大きくなり倒産するという過程を自分の身で経験したことは大きな財産となった。今その経験を活かし会社経営が出来る。全ての経験は自分のためになる。私はこれから会社を何代にも渡り受け継げるように永続的に成長させていく。その過程で今度は私達が誰かにとって大切な「人生にある何か」に気付くきっかけになれればこれほど嬉しいことはない。

あれから15年。私はあの時の選択を後悔していない。苦しいこともあったがその分笑った数も多かった。あの頃の出会いに感謝しかない。これは永遠にそう思い続けるだろう。そう自分も思われるように、事業を通して、お客様と社員へ何かを伝えていきたいと思う。学生時代何かから漠然と逃げていた若者は、今確固たる信念を持って起業し会社経営をさせてもらっている。今共にいてくれる仲間に感謝して毎日を笑いながら戦っている。過去の積み重ねが今を形作っているのだとしたら、今の積み重ねがこれからの未来を予言する。だから後悔が無いように今を一生懸命生きる。一歩踏み出せば未来が変わる。もし出会えたならばいろいろ語り合いたい。人生で重要なことは前向きな心を育むこと、きっかけに気付くこと、そしてその時勇気を出して一歩目を踏み出すこと。可能性は無限だ。

株式会社プラザセレクト
株式会社プラザセレクトワークス
代表取締役
三谷浩之

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